2022年9月期 株主通信

2021.10.01 - 2022.09.30 YRGLM REPORT

トップメッセージ

加速するデジタルシフトを追い風に、もう一段高いステージへ

株主の皆様には、平素より格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
ウィズコロナ、アフターコロナと位置づけられる現在の事業環境においては、消費者行動や企業活動のデジタルシフトが大きく加速しており、当社にとってはまさに追い風が吹いている状況であると捉えております。一方で競合の数も増加し、事業環境が目まぐるしく変化している状況でもありますので、これまで以上にプレイヤーに変化がもとめられていることも事実です。

こうした状況の下、ビジョンにおいて「売り手と買い手の幸せをつくる」と表明して事業を展開している当社が果たす役割はますます大きくなっていると考えています。

2022年9月期の振り返り

見えてきた次の大きな勝ち筋

中期経営方針「VISION2023」の2年目となる2022年9月期は、さらなるサービス領域の拡大とシナジー追求による「グループアセットの最大化」をテーマに掲げ邁進してまいりました。

その結果、2022年9月期の連結売上高は前期比12.7%増の3,334百万円。営業利益は前期比7.4%増の392百万円で着地しております。
アドエビスに関してはこれまでの取り組みの結果、広告効果測定領域において86%超※1の圧倒的なシェアを占めており、今は収益性をしっかりと高めていく段階であると認識しています。そして、アドエビスによって得られた収益を次世代のサービス開発に積極的に投資することで、新たな収益源の柱を確立することを最優先のテーマと位置づけ、着実に実行してきた1年でした。それを反映する指標として、当社では連結売上高における新サービス比率をKPIに設定して注視しておりますが、2022年9月期は9ポイントアップの12%という成績であり、新サービスが着実に育ってきていることを示しています。

新サービスへの投資にあたっては2年間にわたりトライ&エラーを積み重ね、PDCAのサイクルをしっかりと回していくという方針で取り組んだ結果、ようやく大きな勝ち筋が見えてきました。
ひとつはEC構築・運用支援領域。もうひとつがアドエビスを活用したマーケティングプロセス支援領域です。この2つの領域で、次のイルグルムの柱となるサービスを大きく成長させることができる。その確かな手応えをつかむことができた1年だったと実感しています。

2023年9月期の展望と中期テーマ

総合マーケティングDX支援企業集団 として、
売上高100億円の達成を目指す

商流プラットフォーム事業においては、垂直統合モデルを推進していきます。当社は、国内で最も使われているECオープンソース※2「EC-CUBE」を展開していますが、この領域にはSaaSへの移行の波が到来しており、国内外のローコストなプレイヤーが次々に参入している状況にあります。そこで今当社に求められている役割は、システムの構築からEコマース事業を順調に発展・成長させるまでの総合的な支援です。

従来はプラットフォーム提供、構築、運用、集客とそれぞれのプレイヤーが点で存在していましたが、これらを一気通貫で総合的なソリューションとして提供するビジネスパートナーになること。これは国内最大級のEコマースプラットフォームを所有する当社だからこそ実現できることであり、当社の使命でもあると捉え、2022年5月にEC構築・運用支援領域への参入を決断しました。2023年9月期はEC構築・運用支援領域をさらに拡大し、垂直統合モデルを力強く推進してまいります。

EC構築・支援領域をさらに拡大し、垂直統合モデルを力強く推進

また、マーケティングプラットフォーム事業に関しては、当社は長年にわたり広告効果測定プラットフォーム「アドエビス」を提供し、この領域においては圧倒的なシェアを保有しております。広告効果測定はマーケティングプロセスの一部となりますので、広告効果測定によって得られたデータはお客様が有効に活用して初めて大きな成果に繋がりますが、測定後のプロセスでデータが最大限に活かされていないという状況が見られます。そこで、当社のデータとテクノロジーとアドエビスで培ったノウハウを活かした新サービスの開発に大きな可能性を感じております。効果測定に限らずマーケティングプロセス全体の円滑化を支援する領域においても価値提供していきたいと考えております。

マーケティングプロセス全体の円滑化に向けた新サービスを模索中

アドエビスを安定基盤としつつ、EC構築・運用支援領域とマーケティングプロセス支援領域の2軸で新たな成長ドライバーを創出し、それを足掛かりに、総合マーケティングDX支援企業集団として売上高100億円を達成する。これを中期テーマに据え、力強く歩みを進めてまいります。

中長期での売上成長イメージ

SDGsへの取り組み

持続的な雇用こそが会社の成長に繋がる

当社は創業以来「顧客とともに成長する」「社員の持続的な雇用こそが会社の成長に繋がる」という理念の下で経営を行ってまいりましたが、2022年9月期より、こうした当社の想いを可視化する意味で、改めて9項目のSDGs目標を設定しました。

これらの目標に沿って、多様な働き方を支援する制度・環境を整備し、人財成長を促す教育を充実させることで、持続的な雇用の創出に取り組んでいます。また、当社のサービスを通じてマーケティングDXを支援することで、企業の成長基盤を創造。顧客との積極的なパートナーシップによってインパクト創出を加速させています。

これまで通り・これからも、SDGsが掲げている目標と共通の目線で経営を行ってまいりたいと考えています。

株主の皆様へのメッセージ

上場から9年目、
大きく成長してきた組織とプロダクト

当社は2014年に東証マザーズ(当時)に上場して、2022年で9年目を迎えました。2015年時点で経常利益が3億5千万円という水準でしたが、そこから一時は赤字も覚悟の上で踏み込んだ投資活動を行い、利益面に関しては厳しい時期もありました。
しかし、それをしっかり乗り越えて投資を行ってきたからこそ、当時と比べて、売上高で約2.3倍の規模に成長することが出来ました。営業利益で見ると約7年かけて同水準ということになりますが、この数字が持つ意味は大きく異なっています。当時に比べて現在のイルグルムは、組織・グループの規模、プロダクトの品質が大幅に進化しており、それに加えて次世代への投資をしっかり行った上で利益を残しています。金額という意味では同じですが、組織は間違いなく大きく成長しています。

実行中の中期経営方針「VISION2023」はこの2年間の取り組みで方向性を見出すことに成功しており、残りの1年間で、しっかりと新規事業の芽を育むことができれば、先に述べた中期テーマである売上高100億円の総合マーケティングDX支援企業集団が射程に入るものと確信しています。引き続きご支援賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

代表取締役 CEO 岩田進

事業別概況

SUMMARY OF BUSINESS

マーケティングプラットフォーム事業

売上構成比 88%

事業内容

データの計測、統合・分析、活用を通して国内企業のマーケティングDXを支援するサービスを提供しています。
デジタルマーケティング施策の成果最大化・最適化に必要な機能をワンパッケージで提供する「アドエビス」を主軸に、広告代理店の業務効率化を支援する「アドレポ」の他、計測データの活用を加速させる新サービスの複数展開を通して、顧客企業のマーケティングDX支援に取り組んでいます。

売上構成比 88%

当期の業績

複数の新サービスを展開するインキュベーション領域の拡大と増収により売上高は前期比12.5%増の2,924百万円で通期過去最高売上を達成いたしました。M&Aとプロモーション強化によるコスト増も、「アドエビス」の増収と新機能開発に伴う資産振替の増加により、営業利益は前期比13.3%増の279百万円に拡大しました。

主力の「アドエビス」は、「アドエビス シンク」へメジャーバージョンアップを実施。業界初の媒体シンク機能を主軸に3回に渡る段階的なアップデートを行い、圧倒的な進化を遂げました。インキュベーション領域は、M&Aの寄与と自社開発ツールの成長により前期比4.1倍の高成長でマーケティングプラットフォーム事業の成長を牽引しました。

マーケティングプラットフォーム事業 売上高グラフ
マーケティングプラットフォーム事業 営業利益グラフ

商流プラットフォーム事業

売上構成比 12%

事業内容

ECサイトを構築するためのオープンプラットフォーム「EC-CUBE」の開発・提供と、EC構築からマーケティング支援までのEC ソリューションを提供しています。

「EC-CUBE」はオープンソースとして無料で配布しており、独自のデザイン・おもてなしを志向する多くのECサイトで利用されています。当社は決済・配送などECサイトに必要な周辺サービスをパートナーと連携して提供、ECサイトの売上成長とともに収益が上がるエコシステムを構築しています。

2022年5月より独自性の高いECサイトの構築と運用支援を行うボクブロック株式会社(現・株式会社EC-CUBE Innovations)をグループに迎え、ECサイト構築からマーケティング支援までを垂直統合型で提供するソリューションサービスの構築に取り組んでいます。

当期の業績

M&Aにより新たに参入したEC構築・運用支援領域の売上貢献により、売上高は前期比15.6%増の414百万円となりました。一方、営業利益はM&Aに伴う人件費と為替影響によるサーバー管理費等のコスト増により前期比9.0%減の108百万円となりました。
同セグメントの売上の8割を占める「EC-CUBE」は、メジャーアップデート版「EC-CUBE4.2」をリリースし、セキュリティと利便性を強化しました。
2022年5月に新たに参入したEC構築・運用支援領域は、セグメント売上の2割を占めており、大型案件の獲得強化と垂直統合モデルの拡大により2023年9月末には売上の4割に拡大していく方針です。

商流プラットフォーム事業 売上高
商流プラットフォーム事業 営業利益

トピックス

TOPICS

大阪オフィス移転

大阪オフィス

ハイブリッドワークの浸透に伴い、よりよいオフィス環境の構築を実現するため、大阪本社の移転を実施いたしました。

働きがい認定企業

Great Place To Work Certified

Great Place to Work® Institute Japanが実施する2022年版「働きがいのある会社認定」において「働きがい認定企業」に選出されました。

データでみるイルグルム

9期連続増収

2014年の上場以降、9期連続で増収を続け2014年9月期の13.6億円から2022年9月期は33.3億円に成長しました。

広告効果測定ツール売上シェア No.1

広告効果測定プラットフォーム「アドエビス」は、86.7%の高い売上シェアで広告効果測定ツール部門においてNo.1※1を獲得しています。

国内EC構築オープンソースNo.1

累計ダウンロード数180万回超、推定35,000超のサイトで稼働中のECオープンプラットフォーム「EC-CUBE」は日本No.1 EC構築オープンソース※2として認定されています。

連結子会社の数 6社

近年積極的なM&Aにより領域の拡大を推進。6社のグループ会社とともに企業のマーケティングDXを支援しています。

グループ従業員数 221人

従業員数は順調に拡大を続け、上場から9年で従業員数は約3倍となっています。

エンジニア比率 36%

データとテクノロジーでマーケティングを支援するイルグルムでは、エンジニアの構成比が最も高く従業員の36%を占めます。

男女比率はおおよそ6対4

男性社員と女性社員がバランスよく在籍しており、男女ともに活躍できる環境です。

計10回「働きがいのある会社」に選出

多様な働き⽅を⽀援する環境づくりとコミュニケーションの推進により、Great Place to Work(R) Institute Japanが主催する「働きがいのある会社」ランキングにおいて、これまで計10回ベストカンパニーにランクインしています。

山ごもり休暇制度取得率 100%

2011年より開始している独自の休暇制度「山ごもり休暇制度」は、対象従業員の100%が取得し、ワーク・ライフ・バランスの実現と業務の可視化を促進しています。

※1 日本マーケティングリサーチ機構調べ 調査概要:2021年6月期_指定領域における競合調査
※2 独立行政法人情報処理推進機構「第3回オープンソースソフトウェア活用ビジネス実態調査」による