2024年9月期 株主通信

2023.10.01 - 2024.09.30 YRGLM REPORT

トップメッセージ

中期経営方針「VISION2027」を通じて、先行投資を着実に実行していくことで、中長期にわたる収益の持続的向上を果たしてまいります

株主の皆様におかれましては、平素より格別のご支援をいただき、心より御礼を申し上げます。

この四半世紀、当社グループはマーケティングDXの展開およびECソリューションの提供を通じて、お客様である企業の成長を支援してまいりました。人口減少時代を背景とした業務の効率化、省力化に対するニーズが高まっている中、当社グループの使命はますます重要なものになっていると考えます。

この四半世紀、当社グループはマーケティングDXの展開およびECソリューションの提供を通じて、お客様である企業の成長を支援してまいりました。人口減少時代を背景とした業務の効率化、省力化に対するニーズが高まっている中、当社グループの使命はますます重要なものになっていると考えます。

一方で、生成AIに象徴されるようにITの進化が目まぐるしい現在、時代の先を見すえたビジネスモデルの変革が不可欠です。こうした状況を踏まえて、当社グループは「第2創業期」という位置づけのもと、新たな成長ステージに向けた挑戦を始めています。2024年度からの中期経営方針「VISION2027」では、安定した収益基盤であるマーケティングDX事業のさらなる発展をめざすとともに、コマース支援事業の飛躍を実現していくことで、中長期にわたる企業価値の持続的な成長をめざしてまいります。

こうした方針を踏まえまして、2024年9月期の業績についてお知らせいたします。

一方で、生成AIに象徴されるようにITの進化が目まぐるしい現在、時代の先を見すえたビジネスモデルの変革が不可欠です。こうした状況を踏まえて、当社グループは「第2創業期」という位置づけのもと、新たな成長ステージに向けた挑戦を始めています。2024年度からの中期経営方針「VISION2027」では、安定した収益基盤であるマーケティングDX事業のさらなる発展をめざすとともに、コマース支援事業の飛躍を実現していくことで、中長期にわたる企業価値の持続的な成長をめざしてまいります。

こうした方針を踏まえまして、2024年9月期の業績についてお知らせいたします。

2024年9月期の業績について

売上高は過去最高を更新
収益基盤の強化に向けた先行投資を実施

22024年9月期の業績につきましては、マーケティングDX支援事業がおおよそ期首計画通りに推移したのに加えて、コマース支援事業におけるEC構築・運用領域が拡大したことで、売上高は前期比0.3%増の過去最高を更新しました。一方、営業利益につきましては、新たな成長ステージに向けた先行投資を積極的に進めていることから前期比48.4%の減益となりました。

セグメント別に申し上げますと、売上高の約8割を占めるマーケティングDX支援事業は、中核サービスである「アドエビス」について、低単価プランによる拡販に積極的に取り組み、月額売上高は概ね横ばいで推移しましたが、期初時点での月額売上高が前年同月を大きく下回っていたことを主因に、前期比2.4%の減収となりました、また、セグメント利益につきましては、新たなサービスの開発に向けた投資が加速している中で前期比41%の減益となりました。結果として減収減益と着地となったものの、インターネット広告の効果測定プラットフォームとして導入実績No.1である「アドエビス」に対するお客様の評価は高く、安定した収益基盤を維持しています。

一方、コマース支援事業につきましては、EC構築・運用領域が伸びたことで増収となりました。反面、事業の拡大に向けた組織体制の強化、大手のお客様向けエンタープライズ版の開発にともなう先行投資が生じていることから、前期比88.8%の減益となりました。

全体として、前期に引き続き増収減益の決算ではありますが、両事業において中長期での持続的な成長を見越した上で、明確になっている課題に対するポジティブな先行投資が減益の主な要因であります。2024年度以降、中期経営方針「VISION2027」の期間中を通じて、先行投資に対する成果の創出を加速させ、増益基調への転換を早期に図っていく所存です。

連結売上高・連結営業利益・親会社株主に帰属する当期純利益

※2024年8月期_指定領域における市場調査 調査機関:日本マーケティングリサーチ機構

中期経営方針「VISION2027」について

既存事業の収益基盤を維持しつつ、
コマース領域・マーケティングプロセス領域の二軸の成長ドライバーで事業を拡大させていきます

2020年からの中期経営方針「VISION2023」では、新たな成長に向けてM&Aを含めて新規事業の創出に向けた取り組みを強化してきました。その結果、次の成長ステージに向かうための課題が明確になった点が成果の一つです。しかも、当社グループの取り組みがネット広告やeコマースの市場のトレンドに即している上、これまで培ってきた強みを十分に活かせると判断しています。今後、「VISION2027」を通じて、マーケティングDX支援およびコマース支援の両事業における一つひとつの課題に的確に対処していくことで、さらなる成長を確実なものにできると自信を深めています。そして、「第2創業期」という位置づけのもと、当社グループビジネスの変革を強力に進めてまいります。

従来、マーケティングDX支援事業は売上の約8割を占めていたことから、コマース支援事業は新たな成長機会への取り組みと、株主の皆様にお伝えしてきました。これに対して、「VISION2027」においては、コマース支援事業の飛躍的な成長が想定できる段階に達しており、業績を大きく牽引していくものと考えています。そのため、「VISION2027」の最終年度である2027年9月期に向けては、コマース支援事業を拡大させていくことで、売上比率がマーケティングDX支援事業の水準に近づく見込みです。併せて、収益性の向上に取り組み、「VISION2027」の期間中に株主の皆様のご期待に応えてまいります。

コマース領域・マーケティングプロセス領域の二軸の成長ドライバー

「VISION2027」マーケティングDX支援事業の展開

導入実績No.1アドエビスを基盤として
新サービスの投入による新たな収益機会を創出していきます

現在の中核事業であるマーケティングDX支援事業に関しては、主力サービスである「アドエビス」という安定した収益基盤を踏まえつつ、新たなサービスをリリースしていくことでさらなる成長をめざしていきます。

従来、インターネット広告の運用業務は労働集約型であり、広告代理店をはじめとするお客様にとって業務の効率化と省力化が大きな課題となっていました。こうした課題に対し、当社グループは強みであるテクノロジーを活かし、プロダクトを通じてサービス提供を行うことで解決してまいりました。その結果、多くのお客様から高い評価をいただき、約四半世紀にわたり持続的な成長を遂げております。

また、客観的かつ中立的なデータ測定に対するニーズは依然として高く、この分野において当社が提供するプロダクト「アドエビス」は、信頼性の高さから導入実績No.1を維持しており、存在意義は今後も変わることはないと考えます。

もっとも、これから先、プロダクトの提供だけでお客様の課題をすべて解決できるわけではないと考えます。テクノロジーがコモディティ化している現在、新サービスを開発、提供していくとともに、テクノロジーだけでは補いきれないニーズに対してDX人材による顧客支援を強化していく考えです。これによって、「VISION2027」においてマーケティングDX支援事業における新たな需要の掘り起こしに注力していきます。

導入実績No.1アドエビスを基盤として新サービスの投入による新たな収益機会を創出

「VISION2027」コマース支援事業の展開

中期経営方針の期間中における急成長に向けて
確かな手応えを得ています

当社グループは2006年以来、ECサイトの構築・運用を支援するサービス「EC-CUBE」を提供してきました。近年、SaaSと呼ばれるクラウド型サービスが主流となりつつある中、SaaSは安価で利用できる利点がある反面、サービスが画一的になりがちと課題を抱えています。eコマース市場が多様化する中では、SaaSの利用で十分というお客様がいる一方で、画一的なサービスでは差別化を図るのが難しいというお客様もまた相当数いらっしゃいます。ECサイトで競争優位を確立していくためには、ユーザーエクスペリエンスの向上、言い換えれば、ECサイト上でのおもてなしの良し悪しが勝負を分ける要因になっていくと考えています。

この観点において、当社グループはお客様のECサイトに関するサービスを強化し、お客様がECサイトのビジネスで収益を伸ばしていくことを支援してまいります。これにより、お客様にとって当社グループは信頼されるビジネスパートナーとなり、ともに繁栄していく関係を構築したいと考えます。

具体的な取り組みとして、日本発のEC構築パッケージとして月商1,000万円以上のネットショップにおいて利用数No.1である「EC-CUBE」を基盤として、ECサイトの構築、運用から集客、物流に至る垂直統合の支援サービスを展開し、eコマース市場における確固たる地位を確立してまいります。すでに2022年にECソリューションで実績のあるボクブロック株式会社を連結子会社化したのに続き、2024年9月にECサイトの運用代行やフルフィルメントサービスの提供で定評のあるルビー・グループ株式会社を連結子会社としたことで、「VISION2027」における急成長の基盤が整いつつあります。こうした状況を踏まえて、今後の事業展開に対する確かな手応えを得ています。

「VISION2027」コマース支援事業の展開

2025年9月期に向けて

成長基盤への投資を優先的に継続する一方
収益性の向上にも注力してまいります

2025年9月期の通期業績につきましては、ルビー・グループの連結が新たに始まったことなどから、現時点ではまだ開示できないものの、売上に関しては過去最高を更新する見込みです。

また、株主還元につきまして、当社グループでは安定的かつ持続的な利益配分を基本方針としております。具体的には、DOE(株主資本配当率)2.5%を目安に期末一括配当を実施してまいります。2024年9月期については、8月に公表の一株当たり7.6円から0.2円増額の7.8円とさせていただくほか、株主優待として保有株式100株以上に対して年2回、Amazonギフト券1,000円分を贈呈いたします。

今後、中長期の持続的な成長に向けては、マーケティングDX支援事業およびコマース支援事業の両事業ともに、競争優位の確立に向けたシステム開発や人材の獲得、育成への先行投資が必須の状況です。短期での収益性向上が重要である点は申すまでもありませんが、2025年度に向けた優先課題として成長基盤への投資を継続してまいります。業績に関して増収減益が続いておりますが、私としては成長軌道に向けたポイントを明確に定めており、今後の収益性向上を確信しております。そして、「VISION2027」の最終年度に向けては、「イルグルムに投資してよかった」と実感していただけるように、企業価値の向上に全力を尽くしてまいります。つきましては引き続き、皆様のご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。

代表取締役 CEO 岩田進

事業別概況

SUMMARY OF BUSINESS

マーケティングプロセス支援事業

売上構成比 79%

事業内容

データの計測、統合・分析、活用を通して国内企業のマーケティングDXを支援するサービスを提供しています。
デジタルマーケティング施策の成果最大化・最適化に必要な機能をワンパッケージで提供する「アドエビス」を主軸に、広告代理店の業務効率化を支援する「アドレポ」の他、計測データの活用を加速させる新サービス群の展開を通して、顧客企業のマーケティングDX支援に取り組んでいます。

売上構成比 79%

当期の業績

概ね期初計画通りの推移も寄与度の大きい「アドエビス」の売上減を主因に、前期比2.4%減の2,861百万円となりました。
営業利益は、利益率の高い「アドエビス」の減収や新サービスへの投資等により前期比41.0%減の150百万円となりました。

主力の広告効果測定領域では、2023年9月期にリリースした「アドエビス」の低単価プラン「Growth Step Program」とコンバージョンAPI「CAPiCO」の新規受注が拡大しております。新たな成長ドライバーとしてマーケティングプロセス支援領域の新サービスは、4Qにβ版の提供を開始し、2025年9月期中の「アドエビス」顧客への有償販売開始を予定しています。 今後は、領域全体のクロスセル促進と新サービス有償化により、アカウント数の本格増を目指します。

マーケティングププロセス支援事業 売上高グラフ
マーケティングププロセス支援事業 営業利益グラフ
※セグメント別売上及び営業利益は、セグメント間取引の調整額の表記を省略しているため、各セグメント売上の合計値は連結売上高と一致しないことがあります。

コマース支援事業

売上構成比 21%

事業内容

EC構築のためのオープンプラットフォーム「EC-CUBE」及びEC構築・運用フェーズを軸として、集客・物流に至るまで、EC事業者が直面する課題に対して支援サービスを提供しています。
「EC-CUBE」はオープンソースとして無料で配布しており、独自のデザイン・おもてなしを志向する多くのECサイトで利用されています。当社は決済・配送などECサイトに必要な周辺サービスをパートナーと連携して提供、ECサイトの売上成長とともに収益が上がるエコシステムを構築しています。
特に、中期経営方針「VISION2027」の戦略においては、垂直統合モデルを目指したEC構築・運用領域の更なる売上拡大を軸に、「EC-CUBE Enterprise」の開発着手など収益性の改善を目指しております。

2022年5月からは独自性の高いECサイトの構築と運用支援を行う旧株式会社ボクブロックをグループに迎え、体制強化を図ってきました。2024年1月、同社を株式会社EC-CUBEと統合し、より密に連携しスピーディーにサービス強化を図れる体制にしました。同年9月には、ECサイトの運用代行やフルフィルメントサービスの提供等を行うルビー・グループ株式会社が参画。EC領域において、更なる体制強化と垂直統合的なサービスを充実させることで更なる事業成長を図ります。

当期の業績

EC構築・運用支援領域の拡大により売上高は前期比9.8%増の778百万円となりました。一方、営業利益は体制強化やエンタープライズ版開発に伴う先行投資により、前期比88.8%減の7百万円となりました。

EC構築・運用領域では、2024年6月と9月に「EC-CUBE」Enterpriseの新サービスをリリースする等、製品強化に取り組み、拡販を行った結果、セグメント売上の58%を占めるまでに拡大しました。ルビー・グループ株式会社の連結開始により、『VISION2027』のKPIの一つであるセグメント売上比率80%超を達成する見込みとなりました。今後は、開発体制の強化と新規案件獲得に引き続き取り組むとともに、垂直統合的なサービス提供を充実させることで、さらなる事業成長をめざします。

コマース支援事業 売上高
コマース支援事業 営業利益
※セグメント別売上及び営業利益は、セグメント間取引の調整額の表記を省略しているため、各セグメント売上の合計値は連結売上高と一致しないことがあります。

トピックス

TOPICS

ルビー・グループ株式会社が参画

RUBY GROUPE

コマース支援事業における垂直統合モデルのサービスの充実化を目的に2024年9月30日付で同社を子会社化致しました。

働きがいのある会社

Great Place To Work Certified

Great Place to Work® Institute Japanが実施する2025年版「働きがいのある会社」認定において「働きがい認定企業」に選出されました。

データでみるイルグルム

24期連続増収

設立以降、24期連続増収を続け2014年9月期の13.6億円から2024年9月期は36.3億円に成長しました。上場以降、11期連続増収を続けています。

広告効果測定ツール売上シェア No.1

広告効果測定プラットフォーム「アドエビス」は、87.4%の高い売上シェアで広告効果測定ツール部門においてNo.1を獲得しています。

※2024年8月期_指定領域における市場調査 調査機関:日本マーケティングリサーチ機構

国内EC構築オープンソースNo.1

累計ダウンロード数180万回超、推定35,000超のサイトで稼働中のECオープンプラットフォーム「EC-CUBE」は日本No.1 EC構築オープンソースとして認定されています。

※独立行政法人情報処理推進機構「第3回オープンソースソフトウェア活用ビジネス実態調査」による

連結子会社の数 6社

近年積極的なM&Aにより領域の拡大を推進。6社のグループ会社とともに企業のマーケティングDXとコマースを支援しています。

グループ従業員数 371人

従業員数は順調に拡大を続け、上場から11年で従業員数は6倍以上となっています。
※ルビー・グループ、及びその子会社含む従業員数

エンジニア比率(イルグルム単体) 30%

データとテクノロジーでマーケティングを支援するイルグルムでは、エンジニアの構成比が高く従業員の30%を占めます。

男女比率はおおよそ6対4

男性社員と女性社員がバランスよく在籍しており、男女ともに活躍できる環境です。

計11回「働きがいのある会社」への選出

多様な働き⽅を⽀援する環境づくりとコミュニケーションの推進により、Great Place to Work® Institute Japanが主催する「働きがいのある会社」ランキングにおいて、これまで計11回ベストカンパニーにランクインしています。

山ごもり休暇制度取得率 100%

2011年より開始している独自の休暇制度「山ごもり休暇制度」は、対象従業員の100%が取得し、ワーク・ライフ・バランスの実現と業務の可視化を促進しています。